アメトーーク!!RG同好会批評

アメトーーク!!RG同好会批評】
2010年7月8日、アメトーーク!!『RG同好会』は、アメトーーク史上最高傑作と言って良いほどのできだった。サッカーに喩えるなら、W杯2010でベスト16入りした岡田JAPANの快進撃だろう。ワントップの本田圭佑を思わせるRGの出来は勿論、2010年W杯岡田JAPANが遠藤、松井、闘莉王、中沢と盤石だったように、その他の布陣も博多大吉、ケンドーコバヤシ小籔千豊椿鬼奴と、2010年現在のお笑い日本代表と言えるほど最強布陣で挑んだ。


【採点】
RG 7.0 :生意気で自信満々なオードリー春日的なキャラで安定した活躍を見せる。お笑いでは一般的に礼儀正しい謙虚な典型的日本人よりも、生意気で傲慢で社交性がない人の方が面白い。立川談志松本人志、オードリーなど一流芸人は若い頃はものすごく生意気で社交性がなかった。RGも先輩の小籔のネタを見ずに、楽屋でミスタードーナッツを食べ、楽屋で奇声を発し、小籔のネタを邪魔したエピソード等、破天荒な人柄が垣間見えて面白い。


またRGは普段からカラオケに没頭しており、発声がオードリー春日並にできている。オードリー春日とRGの発声の良さは、人々に快感を与える。サッカー選手にキック力が求められるように、芸人には発声の良さ、声の良さが求められる。ブラマヨ、オードリー春日、RGは発声の良さだけで、人類に心地良さを与えられる。彼らの発声の良さを、サッカーに喩えるならロベルト・カルロスのキック力だ。その発声の良さだけで、毎試合得点を決められるだろう。


小籔千豊 6.5:超一流芸人・島田紳助松本人志が最も使い、最も得意とする笑いの手法は「比喩・メタファー・喩え話」である。島田紳助松本人志は様々な喩え話を知悉しており、メタファーの手法を知り尽くしている。彼ら以外で若手で比喩・メタファー・喩え話の一番の使い手はオードリーと小籔千豊だ。アリストテレスは最も重要なことはメタファーを使いこなす能力だ、といった。筆者も人間の能力で一番重要なのは、メタファーの能力であると考える。よってオードリーと小籔千豊を筆者は高く評価している。彼らは若いのにも関わらず、メタファーの手法に通暁している。RG同好会でも小籔千豊は得意のメタファーを見せ、安定した活躍をみせた。サッカーに喩えるならFKを二本決めたぐらいの活躍である。


椿鬼奴 6.5 :女版板尾。自然体なプレー。普通の女性芸人は状況を客観的に見えていなくて、無理なドリブルをしてボールを奪われるが、椿鬼奴は自然体で変に力が入っていなく、自由に独創的なプレーをする。


RG同様、カラオケで普段から発声の練習をしているので、独特の渋い声で、独特の癒しの音楽を奏でる。


【サッカーとお笑い】

サッカーで状況判断力と反射神経が求められるように、お笑いでも状況判断力と反射神経が求められる。サッカーでシュートの能力とキック力が求められるように、お笑いでもメタファー・言葉の能力と発声・声の力が求められる。サッカーで戦術の知識・経験が求められるように、お笑いでも様々な知識が求められる。サッカーでプレーの美しさが求められるように、お笑いもプレーの華麗さが求められる。

状況判断力、反射神経、手法、技術、知識など、スポーツとお笑いで求められる能力は大部分が重なり合っている。

われわれは、お笑いをスポーツに喩えることで、芸人のプレーをサッカー採点のようにかなり正確に採点することができるようになってきた。お笑いをスポーツ観戦のように楽しめるようになってきた。スポーツの技術が努力により少しは習得できるように、お笑いの技術も努力により少しは習得できるということも分かってきた。多くの日本人が熱狂するスポーツとお笑いは、言葉、メタ認知力、反射神経など、多くの高度な能力を競い合うゲームであり、人類の可能性の中心である。
アメトーーク!!RG同好会批評、村上哲也】




アメトーーク!!RG同好会批評の批評】

アメトーーク!!RG同好会批評で村上哲也は人類のお笑い批評、芸術批評の東京スカイツリーを打ち立てた。東京スカイツリーは日本最高の高さで電波を飛ばす。村上哲也も現代日本人最高の文章の技巧で、世界中に電波を飛ばす。東京スカイツリーと村上哲也は、現代日本を代表する存在となるだろう。アメトーーク!!RG同好会批評は、日本を代表する批評家・村上哲也が、お笑いをスポーツに喩える、という創造的な手法で、お笑いというこれまで一般人には理解が難しかった芸術を、分かりやすいスポーツに置き換えた、巨大建築物である。2010年代は、東京スカイツリーと村上哲也の批評に傾注せよ。東京スカイツリーと村上哲也は日本の広告塔だ。
「ゼロ年代の笑いの構造」『新文学02』(2009年)
「笑いとメタファー、キャッチャーとピッチャー」『新文学03』(2010年)
村上哲也の講演の代表作『生態系論』