侍チュート2009年4月21日批評

村上哲也の講演の代表作『生態系論』
TBSで2009年4月からはじまった『侍チュート!』を見た。チュートリアルは『バーベキュー』(M-1、2005年)『ちりんちりん』(M-12006年)、『葉』(チュートリアリズム、2006年)など2000年代後半に神がかり的なお笑い作品を発表した後、しばらく名作を発表していなかったので、


もう才能は枯れたのか、
チュートリアルはもう終わった、


と思っていたのだが、『侍チュート!』を見て久々に腹をよじって笑った。
2009年4月21日に放送された同番組で発表された作品
『見切れ漫才』『オーディション』『カリスマOL スミマキコの教え』『国会答弁』が良い。

コービーブライアントがマイケルジョーダンと比較されるように、
チュートリアルはよく、ダウンタウン松本人志作品とよく比較されるが、
どちらも「リアルな演技」という共通項はある。


またコントの設定の斬新さ、
松本人志作品でもチュートリアル作品でも突き抜けている。


では差異は何か?


松本人志作品は「不快なほどリアル」な人物描写、風景描写だが、
チュートリアル作品は「不思議なリアルさ」があるのではないだろうか。


或る人物に罵声を浴びせて、理不尽に怒ることによって笑いを取るパターンがある。松本人志作品でいえば『ゲッタマン』(VISUALBUM、2003年)チュートリアル作品でいえば『国会答弁』(侍チュート!、2009年)がそれだが、『ゲッタマン』の場合は、不快なほどリアルな登場人物達に強烈なまでの共感を感じるが、『国会答弁』の場合は、すこしスタイリッシュな描き方で、万人受けがしそうだ。『ゲッタマン』のほうがリアリティはあって、芸術的だが、テレビでコントをやる分には、『国会答弁』のようなスタイリッシュさが必要なのだろう。


松本人志監督作品『大日本人』(2007年)と徳井義実監督作品 『nijiko』(2008年)もフェイクドキュメンタリーでリアリティを追求している点で共通しているが、やはり前者が「不快なほどリアル」であり、後者が「不思議なリアルさ」という差異がある。徳井は不思議君、不思議ちゃんを描くのがうまいのかもしれない。


最後にブラックマヨネーズチュートリアルの差異も言っていこう。どちらもリアルな演技を追求しているが、ブラックマヨネーズは激しく喧嘩し合う演技が多く、チュートリアルは不思議でリアルな人物・徳井と凡人・福田の会話を描いた作品が多い。


とにかく『侍チュート!』がもし好評を獲得し続けたのならDVD化してもらいたいものだ。
松本人志徳井義実は、マイケルジョーダンとコービーブライアントのように今後比較され続けるだろうが、どちらも2010年代に日本のお笑い史に残る凄い作品を発表するだろう。